バタフライ備忘録

日本産の鱗翅目(チョウ類)についてまとめたものです。

カテゴリ: シロチョウ科

Leptidea morsei (レプティデア モルセイ)  蝦夷姫白蝶 Wood White

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         春型
【特徴】
ヒメシロチョウと極めてよく似ているが,北海道内ではヒメシロチョウは局所的に分布し,本種の方が広く生息している。ヒメシロチョウの生息地では,しばしば混生地となるため,同定には注意を要する。
【分布】
北海道のみに分布する。平野部や河川敷などを中心に分布するが,普遍的に全道的にみられるわけではない。渡島半島,胆振,日高,十勝,根釧平野,オホーツク沿岸などに生育するが,道央では富良野市のごく一部のみ生き残り,現在,道北では見られない。
【食草】
クサフジ
【生態】
年2~3化発生し,混生地の春型ではヒメシロより本種の方が少し遅れて発生する。本種の幼虫はシロチョウ科の中では,ヒメシロとともに4齢で蛹になるとされ,蛹で越冬する。
【近似種との区別点】
ヒメシロチョウと極めてよく似るが,エゾヒメシロチョウは北海道のみ。北海道では,一部で混生が見られる。紛らわしい個体も多く同定は難しいが,大まかには次のようになる。
まず季節型では,ヒメシロ,エゾヒメシロとも夏型では前翅の黒斑がはっきりするが,春型では不明瞭。春型,夏型ともヒメシロは前翅の外縁は直線的で先端が尖り,エゾヒメシロは前翅が丸みを帯びる。同じ季節型や同じ性別で比較した場合は,前翅先端の黒斑がヒメシロの方が発達する。
また,本種の食草はクサフジであるが,ヒメシロはツルフジバカマである。
【雌雄の違い】
同じ季節型で見た場合,翅形は全体的に雌の方が雄より丸みを帯びる。雌より雄の方が前翅先端の黒斑が発達する。
【特記事項】

Leptidea amurensis(レプティデア アムレンシス)姫白蝶 Eastern Wood White

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    春型の雄(千歳)        夏型の雌(山梨)
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   夏型の産卵(山梨)           産み付け卵
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     生育環境
【特徴】
モンシロチョウより小柄で翅がとても薄く,弱々しくフワフワと植物の間を飛ぶが,なかなか止らずにいつまでも飛んでいる。そのため,写真撮影には厄介な蝶でもある。河川敷や草原などで食草が生えているところに生息するが,ある程度,草刈りなどで管理されている場所に多く,このような環境の減少によって,本種も激減しつつある。本種は,交尾の時,雄と雌が向き合い,触角と口吻で相手を触りながら求愛行動をとることで知られる。
【分布】
北海道,本州,九州に分布するが,現在,九州ではごく一部のみで,中国地方に孤立し存在した広島県庄原市の個体群は絶滅した。中部地方から東北地方にかけての東日本に広く分布するが局地的で,近年はどこも減少傾向が著しい。北海道では,胆振地方の苫小牧市と千歳市,日高地方太平洋岸の日高町や新冠町など,十勝地方の音更町,そして函館市の一部に局地的に生息する。エゾヒメシロチョウより極めて珍しい。分布域の違いは,食草と言われている。九州では大分,熊本県境近辺の阿蘇山,九重連山の高原地帯に分布するが,生息域がかなり狭められており厳しい状況にある。
【食草】ツルフジバカマ
【生態】
年2~3化発生し,春型より夏型の方が前翅先端の黒い斑紋は発達する。本種の幼虫はシロチョウ科の中で唯一4齢で蛹になるとされ,蛹で越冬する。
【近似種との区別点】
エゾヒメシロチョウと極めてよく似るが,エゾヒメシロチョウは北海道のみ。北海道では,上記の生息場所の一部で混生が見られる。紛らわしい個体も多く同定は難しいが,大まかには次のようになる。
まず季節型では,ヒメシロ,エゾヒメシロとも夏型では前翅の黒斑がはっきりするが,春型では不明瞭。春型,夏型ともヒメシロは前翅の外縁は直線的で先端が尖り,エゾヒメシロは前翅が丸みを帯びる。同じ季節型や同じ性別で比較した場合は,前翅先端の黒斑がヒメシロの方が発達する。
また,本種の食草はツルフジバカマのみなので,クサフジが食草のエゾヒメシロとは,生息場所の環境もヒントになるが,同所的に繁茂していることも多い。
【雌雄の違い】
同じ季節型で見た場合,翅形は全体的に雌の方が雄より丸みを帯びる。雌より雄の方が前翅先端の黒斑が発達する。
【特記事項】
広島県では種の保存法に指定されているが,すでに絶滅している。

Pieris brassicae(ピエリス ブラシカエ)大紋白蝶 Large Cabbage White

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       春型
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                            終齢幼虫
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【特徴】
文字通り大きなモンシロチョウで,飛翔中にすぐ認識できる。雄の翅表は純白でとても美しい。1995年にロシアから飛来したとされ,現在では北海道全土に広がっており,東北の一部(青森,岩手)にも侵入した。侵入当時はキャベツ,ブロッコリーなどの栽培種が主な食草であったが,近年では野生のコンロンソウなどのアブラナ科も食する。モンシロチョウより農薬に弱いとされ,2015年頃より数が少なくなってきた。
【分布】
北海道全域と東北の青森,岩手に分布している。
【食草】
キャベツ,ブロッコリーなどの栽培種を食し,在来の野生種のアブラナ科は食さないとされるが,近年はコンロンソウ,イヌガラシなどにも産卵が見られる。
【生態】
モンシロチョウと異なり,卵は1個ずつではなく,20~30個の卵塊として産卵される。若齢幼虫のうちは,集団で生活し,大きくなると分散する。年に4化すると言われる。最近は寄生率が高くなり,寄生された幼虫は,腹からハチの幼虫が出て繭を作っても,痩せた体でその繭を守る仕草をするという。
【近似種との区別点】
近似種はいない。
【雌雄の違い】
雌雄とも前翅先端には黒斑があるが,雌では前翅中央に2つの大きな黒点がある。
【特記事項】

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